14 おばさと泥棒まいど、高玉の寺のおばさが寺にすばらしい金貯めっだと。そして和尚さま檀用でそちこちさ行ってとうとう帰んねもんだから、隙をねらって泥棒野郎べら三人で入って来たと。そしたればおばさ考えて、「いやいや、こいつは、おらだ手向いしたて生命よりも大切な、皆んなから貰った銭、唯やっても何だ。何とかしてうまく行かねか」 と考えて、おばさは賢こいし度胸もええがったごで。寒いときなもんだから、 「みなさん、寒いがべ」 なんて、炭一俵ばり勝手の炉さくべて、おきたところぁ、まずガツガツとおきる。 「寒いから一本掛けんべ」 なんて、大徳利さ酒かけたと。そしたら泥棒野郎べら、おばさ寝てたの、ヒョイラ起きて来たもんだから、ベソラカソラと炉端さいるもんだからおばさなど甘くみて、まず金盗みなどより、おばさ見などばりしたと。そしたば、おばさも、 「こっちの方あんまり温かくないから、俺、ええ塩梅にほげて平らにすんべ」 と、大十能もって来て、野郎べら腹あぶりなどしったのさ、ぐいら灰がらみ三人さ、ぶっ掛けたと。そしたらば、懐さ火入ったり、顔さもかかるし、熱くてあつくて一文も盗らねで、生命からがら逃げて行ったと。んだからやっぱり女なんざぁ甘く見るもんだから、甘くみられた時、そこを見て度胸すえてそういう賢こいことさんなねもんだと。夫などいないったって心配ないもんだけと。どーびんと。 |
>>とーびんと 工藤六兵衛翁昔話(三) 目次へ |