7 梅漬ある寺さ下女一人いたった。和尚さまは檀用もないときは、閑なもんだから、尺八が好きで尺八が好きで、常時尺八吹きをしているもんだったと。ある日のこと、昼間、尺八を一生懸命で吹いったと。したらば、下女も一人ばりの和尚さまの賄いなもんだから、暇なもんで、檀中の人から長薯をもらったと。そしてみたところァ、長薯も丁度似たようなもんだから、長薯でちょっとおたわむれしたと。そしたら抜けねくなってしまったと。和尚さまもあんまり退屈なもんだから、尺八の穴さおたわむれをしたと。 流しさは大甕さ梅漬を漬けっだけと。隣の猫ァ来て、そっち騒ぎこっち騒ぎしている内に、梅漬の甕をひっくり返してしまったと。そうすっど、 「こん畜生!!」 と言うもんで、下女は長薯で猫ばひっぱたくべと思って、ふとしたハズミに、薯が抜けたと。それから和尚さまは尺八で叩いてくれんべとて、グイラ引いたら、そろっと抜けたと。 そういうとこから、梅漬は災難よけだというようになったなだと。どーびんと。 |
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