36 和尚と小僧

 和尚さまがある時、小僧さ言った。
「世の中、諸式が上がって、世知辛くなっから、何でも倹約して使わなくてなんねえ。ええか、例えばチリガミでも、ほだ。鼻かんだら、はいつちゃんと折って懐さしまってで、乾いた奴で、こんどは便所で、はいつ使わんなね」
 二・三日おもったれば(経ったれば)、
「和尚さん、和尚さん、いや、つまんね」
()してだ」
「いや臭くて、つまんね」
「なぜした」
「便所さ行って、のこった奴、懐さしまってで、はいつで鼻かんだ」
「この馬鹿野郎、はいつ、反対だ」
 どんぴんからりん、すっからりん。
>>天とひばり 目次へ