30 五輪窪の送り狼

 むかし、狐だ狼だといたとき、狼が歯さ棘さして、ヨダレたらして泣くように街道傍にいたとき、婆さまが通り掛って、ギィッと腰巻きの端で押さえて、棘抜いて呉(く)っじゃど。
 そいつ、その婆さまば送り迎えすっかったんだって。狼が…。
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