4 二つ森

 むかし、二つ森というのは、長者さまの籾の山だったど。それは舩橋(高畠町)の黒田番内という長者さまであったそうだ。
 その人が自分の土蔵さ眠(ね)ぶってはぁ、夢ものがたり…。
 ネズミが騒いで土蔵の中の籾を食って、サラサラ・サラサラと落ちんの、土蔵の金蔵(かねぐら)さ入って眠ったもんだから、金の落ちる音に聞いっだんだど。それほど金持な長者だったど。
 そして文殊さまと智恵くらべしたど。
「ほんじゃ、文殊がなんぼ智恵あろうども、おれぐらい金あっか」
 て。
「んじゃ、その番内になんぼ金あっか、文殊山の木さ、皆下げられっか」
 そういう競争したど。ほんで、罰あたって、貧乏になったんだど。
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