39 弥五郎沼井上弥助の家で、弥五郎という人が、炭焼きに行って、弥五郎が〈いぶりタナゲ〉さ、フナこ来たな、とってあぶって食ったど。そうしたところが、うまいのうまくないのって、みな食ってしまったど。ほうしたところが喉乾いて、みるみるうちに、水干(ひ)ってしまってはぁ、家でも、来ない来ないているうち、かまねで置かんねから、迎えに行ったど。ほうしたところぁ、大沼になっていだっけど。そうしてその沼の真中さ、ニョロッと大蛇いだっけど。「弥五郎やぁ、弥五郎やぁ」て呼ばたげんど、蛇になていたからなぁ、あきらめて来たけど。ほれからその沼にうんと雑魚いたんだけど。新屋敷(あらやしき)の人が雑魚とって呉(け)ましょうて、干しにかかったところ、新屋敷、どんどん火事になって見えたもんだど。何とも雑魚とらんねけど。 この弥五郎沼は赤湯の白竜湖に底が通じているんだけど。 |
井上新一・大堀えい・井上徳次 |
>>たかみねと秋田の昔話 目次へ |