36 果てなし話

     (1)
 大きな栗(栃)の木、家の前にあったけど。ほうして、毎日、コロコロ、ポタン。コロコロ、ポタンと落ちるもんだど。それなど長い、いつまでたっても終えねんだど。コロコロ、ポタン。コロコロ、ポタン。
(山口ふみよ)
     (2)
 大きな沼のそばに、大きな栃の木あっけど。栃は、カチンと口あぐど、トポンと沼に落ちてくる。それ、かまわず毎日語っているんだけど、カチン、トポン。カチン、トポン。
(岡田睦)
     (3)
 あるばんさ、「おれぁ、話聞き飽きね」ていうた。
「今夜行って、ほに、あのばんさに同じこと言うて語って聞かせてけんべ」
 て思って、
「ばんざ、ばんさ、おれぁ、今夜、話語りに来たどこだ」
 て、隣の家さ行ってだば、ばんさを呼んだ。
「ああ、よく来てくっじゃ。おらは、何んぼ聞いても、話は聞き飽きね」
 ていうたど。そして行って、
「文福茶釜に毛が生えた、なぁ。面白いべ、ばばさ」
「うん、それそれ」
 夜っぴいて同じこと語ったけど。
(岡田さん)
     (4)
 殿さまに、昔語り聞かせろなて言わっで、行ったけど。ほうすっど、
「今日ものろのろ、明日ものろのろ」て、いつまでも終んねがったど。
(岡田さん)
     (5)
 蛇が出てきたど。長い蛇だから、今日ものろのろ、明日ものろのろ。
(山口ふみよ・井上こま)
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