26 地蔵浄土

 じんつぁ、庭掃きしったら、落っでだ団子拾うべと思ったら、ねずみ孔から地蔵さまの前さ転んで行ったど。
    団子どの団子どの
    どこまでござる
    「さいの河原の地蔵どこさまかる」
 そして行ったらば、地蔵さまあっけど。
 地蔵さまさ行ったら、地蔵さまに教えらっだごんだけど。
「晩げ、鬼どもぁ来て、博奕すっから、鶏のまね三度すっじど、三番鶏で逃げて行んから、隠っでろ」
 て言(や)っで、かげさ隠っでいたど。そしてそのうちに鬼ども来たっけど。いっぱいな。そしてええ頃加減に、鶏の真似したど。「コケコッコー」て。
「一番鶏だ。二番、三番ていうど行かんなねぞ」
 ていうもんだから、かげで聞いでいだっけど。こんど二番鶏鳴いて、三番鶏したらば、
「行かんなね。行かんなね」
 て、みな逃げて行ったど。そして銭ぺろっともらってきた話だど。そいつ見た隣のばば、来て、
「どっから出しやった、この金」
「団子転げて行ったから、追っかけて行ったば、地蔵さまからもらってきた」
 ていうたど。
「おれもすんなね」
 て、行ったごんだど。そして団子こさって、そして転ばねのも転ばしてやったど。そしたれば、鬼来たもんだから、一番鶏、二番鶏、そしたら、
「人くさい、人くさい」
 て、見つけらっで、ひどい目にあったど。
井上こま
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