24 くいごこむかし

 むかしあったけど。
 じじ、山さ行って、ばば、川さ洗濯に行ったど。そしたら赤い小箱と白い小箱流っできたど。
    赤い小箱こっちゃこい
 ていうたら、こっちゃ流っできたど。開けてみたら、中に犬コみたいな入ってで、それを育てたなだな。
 ある日、
    じんつぁものれクェンクェンクェン
    ばんさものれクェンクェンクェン
 て、時々のせて山さ行ったど。そいつを隣の人見っだけど。そしてドフッとぬがったどこ掘ってみっど、金が出る。そして隣の家で、
「その犬コ、貸してもらいたい」
 て、となりの婆きたど。
「貸さんない」
 ていうたげんども、びりびり引張って行って、掘れとも言わねどこ掘ったら、何も出はんねで、アン糞みたいなものばり出はったど。
「こんなもの」
 ていうど、殺さっだんだどはぁ。そしてそこさ、木立てだんだど。その木が生きついて大きくなったもんだから、臼作ったんだど。その臼で米搗くと銭出てきたんだど。大判・小判はざくざくて出たど。
 そしてこんどまた、それ借りに来たごんだど、隣で。そして隣さ行くど、出ないずも。そうしてそれも隣で、ぶち割って焚いてしまったずも。臼とりに行ったところが、
「あっげなもの、何も出ない。馬糞みたいなものばり出はって、こっげなもの焚いで、灰置いっだから、持って行くんだ」
 て、隣のじじがいうもんだから、こんど灰を持ってきて、枯木さ登って花咲かせだんだど。
 そこさ、殿さま、馬さのって歩(ある)って来たんだど。そこにいた者は、
「下におろう、下におろう」
 て、殿さま来たど。そのじじも木さ上がっていたから、「何者だ」ていわっだど。
「日本一の花咲かじじだ」
 ていうたど。
「ほんじゃらば、花咲かせてみろ」
 て、とまったど。そして、
   チチン プンプン
   コガネ サラリーン
 と、灰まいたら、その枯木さ、すばらしい花咲いたど。そして大そう賞めらっで、ごほうびもらって、家さ帰ってきたど。
 そしたら隣のじさま、灰もらいに来たど。
「おれも咲かせて、銭でも金でも赤い衣裳でももらわれんべ」
 て、そうして隣のじんじ、その木さ上がっていたら、やっぱり殿さま、
「下におろう、下におろう」
 てきて、じんじはその木さ上がっていたら、やっぱり殿さま、
「そこにいたもんは、何者だ」
「日本一の花咲かじじいだ」
 そしたら、
    チチン プンプン
    コガネ サラリーン
 としたげんども、さっぱり咲かねど。そして殿さまの目さ、灰入って、うんとせめらっで、そこら叩がっで、血など出して来たば、ばば、小山の上さあがって待(ま)じっだど。
「赤い衣裳もらって、銭と金いっぱいもらってはぁ、来(こ)んべ」
 て。ヘラで尻叩いて来て待ってだど。じじ痛くて、泣き泣き来たど。ほだから欲ふかいことはさんねど。とーびん。
岡田さん
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