16 うたう猫

 家中で芝居(しばや)見に行ったて。そして猫とばさばり置いて、若衆みんな芝居見に行ったけど。
 そうしたところぁ、
「なんぼか面白いがんべぁ、ほに。みんなな見っだべ」
 て、その婆んさ言うたごんだど。猫さよ。ほしたら猫が、
「そんがえに見たがったらば、おれが今夜の芝居やってみせっから、決して家の人さ喋んなよ」
 こういうたど。ほうしたところが、喋ったずも。ばんさが。そうすっど、ばんさ、猫にやらったど。
大堀えい
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