7 三枚のお札和尚さま、法事さ行かんなねがったがら、小僧さ、丹波のてて栗ていう、大きな栗一つ呉っじぇ、和尚さま、法事さ出はて行ったんだど。「転ばして遊んで、おれ来るまで食うなよ」 て。ほだげんども、食だいもの焙ぶて食ったつうけどら。 そして食ってしまったもんだから、和尚来っど、おんつぁれるもんだから、丹波さ栗拾いに出かけたど。小僧がよ。 「丹波ざぁ、どこだ」 て聞いたげんど、 「丹波つうどこは、遠くて行かんね」 ていうげんども、 「食ってしまったから、おれ拾って来っから、教えろ」 て、和尚さまに聞いだど。そしたら何か書いた紙三枚、 「行けば、鬼婆いたから、鬼婆に追っかけらっじゃどき、川だの山だの、火だの出るように投げて、逃げてこい」 て、和尚さまに教えらっだど。そして丹波さ行って、栗拾って来るべと思ったら、暗くなって一軒家さ泊めでもらったど。そして、便所(せんつ)さ行きたいていうたら、綱つけて便所さやったから、その綱、便所の柱さ結んで逃げだど。 「まだ、まだ」 ていうてるうちに、柱、みりみりと倒れてしまったんだど。 「小僧、逃げたな」 ていうて、その鬼婆、追っかけだもんだも。そんで、 「川出ろ」 て投げたら、大きな川が出たど。そんな川、がってしねで、ガホガホ、ガホガホと来(く)っど。わらわら逃げて走って、また鬼婆に追っかつがれそうになったど。 そしてこんどぁ、 「山出ろ」 て投げだら、大山出て、そんな山など、がってしてらんね。鬼婆、わらわら、わらわら、その山越えて、小僧、いまつうとで追かつかれそうになったから、こんど、 「火ぁ出ろ」 ていう紙投げたところが、その山、どんどんと火だど。それも、がってしねで追っかけて来っど。鬼婆。そしてようやくお寺さついて、どんどんと戸叩いて、 「和尚さま、戸あけろ」 ていうたど。そして菖蒲とよもぎの原さ隠っだど。 そいつぁ、夢であったど。 |
岡田さん |
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