33 佐兵ばなし― 豆腐のすだれ―

「久兄にゃ、久兄にゃ、あそこに豆腐で編んだすだれあっけぜ」
「豆腐で編んだすだれなて、豆腐ですだれ編まれんめぇちゃえ」
「ほだげど、あっから歩いでみろ」
 なて、連 (せ) て行った。そうすっど、
「ほらなぁ、一封 (ふ) 、二封、三封、四封…十封。ほら十封で編まったべ」
「なえだ、そつけなこと、おれも知った」
 なて、二人で楽しく〔久兄にゃと〕世の中をすごして行ったてよ。
(佐沢口・佐藤継雄)
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