19 無筆の立札
屋根葺きしてよ、みなカヤ屋根だべ。
そうすっど、お金続かねぐなったんだごではぁ。そうすっど、半分して止めだっ てよ。
そしたらそこさ、ちゃんと立札かけっだんだけど。島津の御門描いでよ、ほし て、その御門のどこさ鹿が寝っだんだってよ。そこさ、五つのフクベン描いだん だけど。
何を書いっだと思ったれば、
〈しまつしかねて、いつ、ふくべん〉(仕末しかねて、何時葺くべ)
というのだったど。
(佐沢・武田はる)
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