12 糠福米福

 栗拾いに行ったごんだど、糠福と米福は。自分の本当の娘の米福には、尻縫っ た袋あずけた。それから、先妻の子、継子の糠福には尻抜けた袋あずけたど。
 ほして二人で、奥山さ行って、一生けんめい採っていだげんど、姉の糠福の袋 さ溜んねんだごてはぁ、尻抜けていっから。
 そして妹の米福の方さばり、いっぱい溜ったど。
 して、晩方暗くなったから、米福は、
「歩 (あ) えべはぁ」
 ていうたげんども、姉は拾わねもんだから、来らんねわけだ。ごしゃがれっか らな。んで、妹の方ばり来て、姉の方が来ないで、泣いっだところさ、神さまが 来て、
「なして泣いっだ」て、聞いだところが、「こういうことだ」
「んじゃ、こういう風にして、こうしろ」
 て、栗をでっしら、こっちの家さ来て出るように教えらっじぇ、継母の前さ出 たところぁ、継母は、
「ほだなはずはないげんども」
 て、たまげて、それから、継子いびりさんねていうたど。
(佐沢・山田喜一)
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