7 化けものの話

 ここの一番上 (かみ) に、鎮守さまあっこで。
 そこはこんもりしたどこだったもねぇ。木ぁあってよ。そこさ化けものが巣食っ て、まず人が通って食れで、仕様がながったてよ。
 そうすっど、ある日、村中の相談になったど。
「どうしたら、その化けものを退治でぎっか」て。
 そうしたら、一番と智恵者が、
「ほんじゃ、おれにまかせろ。酒何升と餅と買ってこい」
 そういうわけで、酒と餅買ってもらって、自分が一人で出かけだんだど。ほう すっど、その鎮守さまの門前に立って、大声で、
「今日はお化けども出て来い。うんと酒を御馳走すっから出て来い」
 そうしたら、全部出てきたんだって。そして、
「その酒、全部御馳走すっから、お前がおれの言うとおりに化けられっか」
「造作もねぇごんだ。化けてみせる」
 ほうしたら、さんざん酒飲んでがら、こんどぁ、
「この掌に、納豆に化けてみろ」
 ていうたら、掌に納豆に化けだんだど。ほうして、持ってった餅を出して、そ の化けものの納豆を餅につけて、みな食べできたど。んだから、智恵のある人に はかなわない。どーびん。
(佐沢・武田はる)
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