7 三尺安兵衛体は三尺ぐらいしかなかったど。それでも刀だけは一丁前な差して、刀引ずらるもんだから、刀の先さつねに車こついでいっかったど。あるとき、参勤交代のとき、山賊風の連中だ、たむろしておって、餅あぶりしったけど。 「おいおい、餅食せろ」 したら、その餅焼けた奴を刀の先で出したど。そいつをゆうゆうと食った。 「これぁ度胸のええ奴だ」 て、たまげたていうんだな。その山賊だ、ところが手伸ばした奴は後伸びないて見たていうんだな。三尺安兵衛は、こう腕を曲げてた餅は食わないていうなだど、伸ばした奴だからちょうだいしたてだど。きわめて剣術の達人であったていうのだな。 |
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