25 医者と鍛冶屋

 むかしあったけど。
 お医者さんと鍛冶屋と一緒に死んだごんだど。そしてはぁ、道づれになって、三途の川や、あれを通り抜けて行ったど。そしたらこんど、閻魔大王さまに、 「お前たちは生きてるうちに人さまのためにもなったべども、金も大変にとったもんだから、唯など成仏させらんね」
 て、そしてこんど、あれだずもの。
「槍の山登れ」
 て、こう言わっだごんだずも。そしたば鍛冶屋、一晩げのうちに金のワラジ作ってしまったど。そしてお医者さんと二人、金のワラジ拵えて、その槍の山登ったど。
「これは困った人、これでは仕様ないから、煮立湯さでも入れる他ないな」
 と、こう思ったど。それからこんど、釜さお湯わかして、そさ入れることにしたど。そうすっど、ええお医者であったべちゃえ、体中塗っじど、火傷のしない薬拵えたごんだど。そうしてはぁ、お医者さまと鍛冶屋は、それ塗ってお湯さ入ったごんだずも。そしたば、さっぱり火傷もしないでケロッと入っていっずも。いや、こんでは仕様ない、
「お前だは、やっぱり、世の中さええことしたせいでそうなんだべから、成仏させろはぁ」
 て、そう言わっであったけど。むかしとーびん。
 
〈話者 川崎みさを〉
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