10 魚女房 ― 冬道と腹コモチは後ほどよい ―
魚ば助けたために、魚が女になって、かかになって来た。ほして毎日ハラコ汁食せられっど、ふしぎだと思って、
「おれぁ、お汁作りしったどこ見んなよ」
て、念押さっでだが、何だてふしぎなことなもんだから、「見んな、見んな」ていわれんな、見たところぁ、汁作っどき、いつでもその鍋の中さ、ハラコ産(な)して、そいつ食せっだんだけど。
(藁科)
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