8 猿 聟むかしあったけど。三人のきれいな娘いて、いたば猿がきて、 「おれに娘一人呉んねぇが」 「ええがんべ、一人呉れっから大事にしろよ」 て、そしてもらって餅ついてもらって、その娘は猿のおかたになるの嫌んだげんども、仕様ないから、ほんじゃ途中で猿を川さでも入っで、おれぁ戻ってくんべと思って、そのつもりで、 「ええがんべ、ほんじゃ、おれのお嫁になっから」 ていうて、嫁に行って餅搗いて里帰りすっどきに、 「おら家の親たちが臼さ入った餅好きで、その餅御馳走すんには臼がらみ背負って行かんなね」 ていうて、 「ほんじゃ、背負って行んから」 て、臼がらみ背負って来たらば、 「あそこにきれいな花咲いっだから、あの花欲しいなあ」 というたらば、 「とってやる、とってやる。んだげんども、この臼背負ってでは、とてもあの花取らんねから、ほんじゃ、ここさ置くべ」 その娘いうにゃ、 「臼そこさ置くと土くさくなる。そこさ置かねで、背負って、とって呉ろ」 「背負って、よかんべ。背負ってとって来(く)っから」 て。そして沢さ曲がったば、臼がらみ川さストンと落ちて、その娘、無事に帰ってきたけど。 |
(関場) |
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