6 八谷の金掘りむかし、八谷で金を掘った時、とってもええどこ見つけた。そんで喜んで米沢から芸者四人を招ばって、酒盛りすることにした。その芸者は馬できたそうだ。そして山に入ったところが、むかし、神原の下の「紙漉き」という部落のところをずうっと山に登るとき、芸者がのっていた馬が何に魂消たんだか、立ち上ったので、馬からその芸者が転げ落ちた。足でも痛くしたか、腰でも打ったか、その芸者はそこから帰ってしまったので、その坂を、その芸者の名をとって「ホダシ坂」と呼んでいる。 後の三人の芸者は、鉱山まで行って酒盛りした。その時に、人夫の一人が小用達しに孔から外に出たところが、向いの山できれいな女が手招きしている。それで、 「何だか、向いの山に女の人が立ってて、手招きしてるから、みんな出てみろ」 て、音立てて中の人に言っているうちに、その山が崩っで、生き埋めになってしまったそうだ。その時に早く出てきた人だけが助かったんだど。芸者三人は生き埋めになったので、沢の名前に、「宮内(くない)」「三替」「弥一郎」の名が残っている。 その向いの山の女は、山の神さまで、早く出ろと教えてくれたんだという。 その上に「ドウス沢」という沢がある。癩病患者は金神だといって、そこに埋めたもんだという。そうすると金が出るというたそうだ。 鉱山というのは、七つの峰を越して行くと栄えるというので、田沢に降りないで、簗沢の東に出るような道を歩いて、鉱石を出したそうだ。簗沢東に「トコヤ」という地があるが、それは人夫の中に髪結いがいたので、そう名付いたそうだ。 |
(関場亥之助) |
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