15 植木売り佐兵が松の木の格好のええのを切ってきて、土さ植えて鉢を持 (たが) って行ったど。 旦那衆の家さ行って、「植木持 (も) した」 「なんぼ」「いやなぁに、なんぼなて、旦那のええほどで、ええごで。おれぁ、唯 持って来たんだもの、値なしでええごではぁ」 そして、 「値なして言わっだって、せっかく掘って来たんだから…」 て、金を払ったずも。 ところが佐兵のもって来た植木は土にさしたばりだから、根っこないごんだ。 旦那のところに佐兵が次に来たときに、 「なえだ、まず佐兵、貴様、せんどころっと欺まして、根っこのない松の木持っ て来たどれ」 「ほだから、旦那、根なしでええと言うたどれ」 て言うたど。 |
〈話者 高橋照太郎〉 |
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