12 姥捨―満州できいた話―六十才になっど、チャンチュウ飲ませで泥酔させで、蕃刀で首はねだんだそうだ。そしてそれを焼いでしまったもんだそうだ。ある智恵のある若者が羊ば焼いで、こういう風に殺したていうて、かくすわけだ、年寄りば。そして羊の骨を見せるわけだ。 ところが、たまたま、隣の国から圧力かげらっでで、「象がどっしりして落付いでいっけんども、象をさわがせる動物がいるはずだ」。 そうしたれば、みんな、「虎だべ」の、何だのていうげんど、決して象は微動だもしながったて。 ところが象ていうな、非常に神経質なもんだから、蟻コをもって行くど、蟻コにぶったまげて騒いだていうんだな。 ところがまた、ほれ、難題ふっかけらっだ。「元、裏知んねような木もって来て、どっちがモトだか、どっちがウラだか、これを見分けろ」て。 「そんなの簡単だ。川さ流せば、元の方が必ず重いんだ。んだから元の方が先になって流れっから」 て、流してみたら、やっぱり向き変えても、向き変えても、元が先になって流っだど。したれば、 「こだえ智恵のある国と戦争したら、かなわね」 ていうわけで、そこで和睦申し込んだど。そしてそれがどこでわかったがていうど、結局老人にきいだんだったて。 |
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