49 かわうそと狐狐は利口だし、かわうそは狐から見ると、馬鹿なもんだから、かまわずそのかわ うそば欺して雑魚とらせて、「こんどの次は、おれが山にいて、山藷掘るの上手だから、お前来るときまで、 山藷掘って御馳走すっから、まずこの度、お前雑魚たくさんとって食せてけろ」 て言うて、そして行っては食ったど。そしてかわうそは狐さ行くと、天向いて 呼ばてもつねっても音立てないというた。そして狐はその後かわうそどこさ行っ て、 「いやいや、おれだ狐の契約で、何日(いつか)は天まむり....、何日(いつか) は地まむり....を仰せ付けられて、この間は、天まむりで、天(てん) コ吹いていたとき、喋るも動くもできなくなっ ていたった」 そういうこと語って、かわうそば欺して食べものを食い食いした。 「こんど来たとき、掘っておくから」 て、行ってみると、こんどは地まむり....仰せつけらっでだ。そういうことして、 そっくりかわうそば欺ましったてな、かわうそはあんまり欺さっだあげく、なん ぼ心よしでも、思いついて、 「お前、そんな長い尻尾持ってで、おれみたいに水さくぐらなければ、雑魚とら んねのでない、お前だれば、感ずる(寒く感じる)朝方に小便たれで、そうすっ ど、氷さ孔開くから、そこさ尻尾を入れるだけ突込んでおけば、夜あける頃にな れば、とっても食い切れない、持(たが)き切れないほど雑魚喰っつくから、それ、その 上げるのだ」 て、かわうそは狐さ教えたど。そうすっど、その通りにしたど。狩人が朝げ早 く家の前さ出はって、高みで眺めだば、狐ぁいた。 「狐いた。早く鉄砲持って行ってとれ」 て、鉄砲かつねて大走り...に来るのを、狐ぁ見たので、狐は切ながって、 「小雑魚も大雑魚も、みな離れろ」 て、なんぼ動いても抜けなくて、鉄砲打たれたど。んだから、そういう意地わ るいことするもんでない。むかしとーびん。 |
(高橋きみの) |
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