(3)

 嫁の家さ行って、何て挨拶したらええか分んねので、親が川向うで豆蒔してた なに、聞いたそうだ。
「嫁の家さ行ったら、何て挨拶したらええ..」
 そしたら、口上教えらっだずも。川へだたっているもんだから、聞えなかった ど。
「なえだて?」
 て聞き返したど。
「これほど、言うても、まだ分んねか」
 て、フクベンさ豆入れて蒔いったのを、そのフクベン振って言うたど。そうすっ ど、家さ帰って、フクベンさ豆入っで持って行って、
「これほど、言うても、まだ分んねか」
 て、嫁の家で挨拶したど。こげな馬鹿さ、とても娘呉れらんね、と嫁取上げらっ だど。
(川崎みさを)
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