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 南の山の息子が里から花嫁もらったというもな。そしてお盆のときに、嫁の実 家さ行くことになって、聟さ親が教えたど。
「あの嫁の実家では立派な仏壇買ったから、盆礼に行ったら、賞めらんなね。ん だども、見付けないで買ったどころぁ、節穴のあんな買ったってな。んだから、 〝立派な仏壇買った〟とほめて、〝おしいことには、ここに節穴あんな見付けない で買って来た〟と言うべから、〝十三仏買って、此処(こ)さ掛けた方がええ..べ〟と言え」
 て、嫁の家さ行って、そう言えて教えらっで行ったそうだ。そしてこのお仏拝  んで、それば賞めて、なんぼか嫁の家の人喜ばしたど。そうすっど、
「南の山のアンツァ、おら家で馬もやっとこの間買ったから、見て呉ろ」
 て、馬見たど。そしてずうっと見て来て、終いに尻の穴見つけて、
「いやいや、これぁええ馬だな。ここさ十三仏掛けるとええ..」と言うたど。
 むかしとーびん。
(高橋しのぶ)
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