13 三人兄弟むかしあったけど。正月の二日の正夢を晩げ見たら、みんなで語り合うことにして寝たど。その一 番の末の子が、 「いい夢みたときに、決して人に言うもんでない」 と、そういう話を聞いていたというわけよ。そして次の朝げに三人で集まって、 「おれはこういう夢を見た。お前はどんな夢みた」 ていうたどころが、決していい夢見たときぁ語るごんでないというもんで、一 番末の男の子ぁ語らねというごんだ。 「三人で約束したな、語らねつぁなんだ」 そして、三人で約束したなが守らね。強情だと言うんで、兄(あんにゃ)だかが、 「お前みたいな損(そん)居士(こじ)(へそまがり)もの家さ置かんねから、島流しにする」 て、箱さ詰めらっで、流さっだというわけよ。どこかの海だかに流さって行っ て、拾わっで、一本の棒片方が青くて片一方が赤い棒を拾って、それを持って歩 いて、金持の家の前に、きれいな女いるど。ちょこっといたずらに鼻のあたりを 突っついたり、頬っぺのあたりを突っついたりすっど、なんぼか、そこふくれて おがることだと。 医者にかけても、典者にかけても治らね。そんどきその男は易者になっていた ど。 「そういうことになった病気治すには、その赤いとこで突いて、そういう風になっ たの、青いとこで突き治せば、もとの顔になる」 とな。その易者に掛かったらどうだ。評判になって、そういういたずらをして、 鼻を高くしたり、頬ったぶ....をふくらしてみたりして、まず悪いことしたというだ ごで。ほだども、利口だから後の仕上げにそういう易者になり、これは青い方で 突っつくと治ると易に出たから、ほんじゃ、おれ治してあげる、とな。そして歩 いて治しているうちに、なんぼかええ..大家の聟にのぞまっで、その聟になったど。 んだから、それから言ったものやら、 「いい夢みたら、決して人に言わねとえ.え.」 ど。むかしとーびん、さんすけびったり釜のふた、灰(あく) で磨けばええ銀玉、なぁ、さんすけふんはい。 |
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