16 寝言兄弟むかしあったけど。男の子どもばっかり三人いて、毎晩同じ寝言語る兄弟であったど。そして兄の方は「そーそとござった」て言う寝言であったど。それ、泥棒が知しゃないで、そこの家さ入って、一つ何か盗むべと思って行ったど、軒場まで…。そしたらちょうど寝言の始まる時分であったど。そして兄始めたずもの。 「そーそとござった」 て。そうすっど泥棒ぁ、「これは見つけらっだな」て思って、しゃがんだど。と、二番目はこんど、 「しゃかたまってござった」 て。そうすっど、「いや、こんでは駄目だ、見つけらっでしまった」 と思って逃げ出したど。そしたら一番小さいのは、 「どこまで行っても、テンビン棒」 て、こう言うたど。そうしてはぁ、泥棒、「いや、こんなおっかない家さ、二度と来らんね」 て、そう思ってはぁ、泥棒来なくなってあったけど。むかしとーびん。 |
(川アみさを) |
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