45 左甚五郎と天邪鬼

 塩井村(米沢市)の毘沙門さまは左甚五郎が建てたお宮さまだど。そして左甚五郎は、斧で、バガバガすっど、木っ端跳ねて行ったの、みな人になって稼いで、一晩げに建ったもんだど。そしてうしろさ手摺りつけっど終るというとき、天邪鬼が鶏の真似したんだど。そうすっどはぁ、
「そら、鶏鳴ったから、明るくなったから…」
 て、やめてしまったど。そしたら後から何べんつけても、手摺りがついていないんだど。そしてこんどそこさ御神体おさめるとき、御神体をちゃんと立てて拝んでいたど。そこに見っだ人ぁいで、見てて、
「お前だ、そんじゃ分んねごで、御神体というのは、寝せて拝んで、精(しょう)入れて精が入れば起きる」
 と教えらっじゃったてよ。その人は高畠の時沢の安然大師という人だったど。
(鈴木よし江)
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