41 屁たれ嫁

 むかし、隣の村から嫁もらったれば、嫁が屁たれ嫁で、ガスがたまって来っど、真青な顔になんなだど。
「どこか悪れか」て聞かれっど、
「いや、悪れなでないげんども、その屁出んなよ」て、こう言うたって。
「ほんじゃ、屁などたれろ、かまわず遠慮なくたれろ」て言うたば、
「ほんじゃ、みんなそこら押えてておくやい。こがえしてっど吹飛ばされっから、みんなおさえてておくやい」
 閾おさえたり、炉縁おさえたりしていだって。そうすっどブッブッブッと、たれるはたれるは、家などぐらぐらというほどたっじゃって。そうすっど裏の方に梨の木あって、その梨の木ぁ大きくて、もがんねくていたな、
「ほんじゃ、あの嫁にもいでもらえ」
 て言うて、嫁に、
「梨もいで呉んねぇが」て言うたど。そしたら、「ああ、ええがんべ」て、そして行って大きい梨の木の下さ行って、屁たっじゃれば、ボダボダとみな落ちて来たんだけど。そうして、その梨食ってみたば、屁くさくて食んねがったど。どーびんと。
(鈴木よし江)
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