36 和尚と小僧和尚さま、小僧と二人いたど。二軒の家で一緒の法事あったて。そうすっど、小僧がやっと来たばりの小僧で、お経もくわしく教えねごんだど。教えねから、「何としたらええがんべ」て、和尚さま心配していたど。 「あらら、お小僧さま、おぐやった(来てくれた)」 どて、頼んだ家ではうんと喜んで法事したずま。そしてお経何と上げると思ったら、だんだんに飾った通りに、お経詠んだんだど。お経知(し)しゃねから、その仏前さ供えっだ飾りものを詠み上げたど。 「豆腐、コンニャクに油揚げ、納豆…」 なて言うて来ても、その家からうんと喜ばっで、お布施いっぱいもらって家さ帰ってきたど。そしたば、「小僧、小僧、何とした、まず、さっぱりお経教えねで、まず…」て言うから、 「何としたって、上げようないもんだからはぁ、飾りもの、みなお経の中さ上げだごで」 て言うたらば、「あらら、賢こくしたことなぁ」て、和尚さま賞めたど。 |
(中條ちゑの) |
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