35 黄粉と爺むかし、じさまが庭掃くどて、豆一粒拾ったど。そして豆一粒拾ったから、「こいつ、なじょすっか」 て言うたれば、ばさま、 「半分種子にして、半分黄粉にしろ」 て言うたって。そうすっど半分種子にして、半分黄粉にしたど。そして一生懸命に黄粉にしたらば、隣の次郎、太郎、「いやいや、くさいくさい、黄粉くさい黄粉くさい」て来たわけよ。すっど、 「ほれ、来たから隠くせ」 ていうわけで、尻の下さ隠したっていうわけよ。そして置いた拍子に屁たっだっていうわけよ。そいつが南の向い山さ、みな吹飛んで行ったというわけよ。じさま山さ行ったらば、キジ、黄粉なめしったってよ。そいつ鎌打(ぶ)って獲ってきて、 「ばさま、キジ獲ってきたから、晩げキジ汁にしろ」 て言うたらば、ばさま、うまいかと食い、煮えたかと食い、しょっぱいがと食い、甘いかと食い、ぺろっと食ってしまって、困って自分のカイコ切って煮っだど。すっどひどく撓(しな)こいキジだとて食ってだど。そしたば鳥ぁ飛んできて、 撓(しな)いも道理 くさいも道理 ババのカイコ て。「異なこと語るトリだ」て、追ってやっど、またじきに来っこんだど。そしてばばの蒲団あけてみたば、カイコ切って煮て食せらっでいたんだど。 「このばば、ほに!」て、じさまごしゃえたんだど。どーびんと。 |
(鈴木よし江) |
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