27 姥捨て山

 むかしは六十二才になっど「木の股」というた。木の股になっど、ぜひとも姥捨て山さ置いて来らんねぐなって、背負って行くとき、ずうっとおっかさがおぶって木を折(お)だり折だり行ったんだど。そして折だり折だり行って置いてきて、そして夜、こっそり行って連て来たんだって。木折だってきたもんだからそれを目当てにして…。そこさ、とっても置いて来らんねから、一時は置いて来たげんども、また戻って連(せ)て来たんだど。夜になってからな。穴倉の中さかくしったていうわけよ。
 そうすっど、代官が、
「百尋の灰縄なって持って来たものは、褒美をやる」
 どかて、触れ出したど。そうすっど思案に余って、おっかさんに聞いたど。そうすっど、おっかさんが、
「灰縄なうなんて、雑作ね。百尋の藁買って縄なって、そくっと焼いて、そしてお盆さつけて持って行け」
 て、教えらっじゃど。そして持って行って褒美の代りに、姥捨てしねごどになったど。どーびんと。
(鈴木よし江)
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