23 地蔵浄土

 むかし、団子拵えしったら団子転んで行ったど。庭さ。そしてネズミ孔さ入って行ったど。団子が…。そうすっど、じんつぁが、
「団子どの、団子どの、どこまでござる」
 て、孔掘り、ずうっと追っかけて行ったど。そうしたら「地獄の果てまでござる」て転んで行ったど。そうして転んで行ったところが、広い野原みたいなどこで地蔵さまポツンと立っていやったんだど。そこさ。
「地蔵さま、地蔵さま、ここさ団子転んで来ねがったべか」
 て聞いたど。地蔵さま、
「あんまりうまそうな団子だから、おれ、御馳走になった。そのお礼として、おれの膝カブさ上がれ」
 て言わっだど。
「地蔵さまの膝カブさなど上がらんね」
「ええから上がれ」
 こんど、「掌さ上がれ」「掌なてもったいない」て言うげんども、「ええから上がれ、ええから上がれ」て言わっで、掌さ上がったらば、「肩さあがれ」て言わっだど。「肩の上さなの上がらんね」て、うんと辞退したげんども、「ええから、ええから」て言わっで上がったらば、こんど「頭さ上がれ」て言わっだど。そして頭さ上がったらば、
「いまに夜中になっど、いっぱい鬼共が集まって博奕打ちすっから、そん時、ニワトリの真似しろ」
 て教えらっじゃ。そうすっどええ頃加減に、ニワトリの真似したていうなだ。
「ほら一番鶏鳴いたから、せっせとしろよ」
 て、こんどぁ始まったど。こんどポンカラ、ポンカラどかて声掛けで博奕うちしったってよ。そうするうちに、こんどぁ二番鶏鳴いたど。そしたら、
「ほら、二番鶏だ。明るくなっから」
 こんどぁわらわら逃げて行ったんだど。そうすっど地蔵さま、その銭をぶん投げて行ったから、こんどは、
「お前に呉れっから、んだから持って行げ、お礼に…」
 て、銭、みなもらって持って来たんだって。そうしてじんつぁとばんさが富貴に暮したど。どーびんと。
(鈴木よし江)
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