21 まま子ばなし

 あるどこに娘と継母(かか)いたけど。娘は夜さえなっじど、何なもんだか娘どこ殺してける、殺してける、て、毎晩来て仕様なかったど。そして今度、娘裸にしてペロリペロリと体なめるていうわけだごで。そうすっどその娘は毎日毎日来られるもんだから、恐かなくて恐かなくて青くなったど。
 その娘、恐っかないもんで、組長さんみたいな人さ遊びに行ったときに言ったど。
「なんだて、お前そんなに真青な顔になったのや」
 て聞かれたど。そうすっど、「黙っていねど殺される、黙っていねど殺される」て言うもんだから、
「毎晩来て、体ペロペロなめて、喋っど殺す、喋っど殺すって、おれどこペタリペタリとなめっど恐っかなくてよ」
 て、娘言うごんだど。組長さん、
「そりゃ何なもんだべ、そうか、鬼でもあんだか何だか、夜、今夜でも部落の人が家のぐるりさ立って、お前が音立てたどき、立ってた人が全部家の中さ入っから、そん時、鬼みたいな人が来たとき、お前音立てろ」
 ていうたんだど。そしてその晩ねたんだど。そしてこんど、その夜また来たもんだから「恐っかない」て音立てたんだど。そしたら家のぐるりさ立ってた人、みな家の中さ入って抑えて呉っだんだど。そしたら後妻かかだったど。コンニャクを舌(べろ)にして、人参を角にして毎晩体なめるんだけど。そしてそれからおっかさは家さ置かんねていうもんで、追出さっだど。
(中條ちゑの)
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