31 「お」の字こ

「嫁に行ったら、言葉悪(わ)れもんだから、何でも『お』付けて言わんなねごで」
 て、おっかさ言うたど。
 そうしたところが、凍み大根掛けっだけそうだ。そしたら、
「おっかさ、おっかさ、あの、オシミ大根はオカタンオカタンとオ鳴りある」
 て言うたずも。
「んだから、何にも彼にも一様に考えてはなんねごで」
 て、話だごで。
 そしたら、桶のことを「ケ、ケ」て言うたど。
(中條ちゑの)
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