27 南の山の馬鹿聟― 白髪ほけの化けもの―

 牡丹餅もらって、川さ、半刻(とき)、その重箱浮きたもんだから、付けものみな取っで、みんな牡丹餅のあぶれやら、黄粉流っではぁ、みな白くなっているやつ、
「白髪ほけの化けものに行き会った」
 て、家さ行ったど。
「なんだごど、白髪ほけの化けものざぁ、どこだ」
「あそこの川に、白髪ほけの化けものいた」
 て行ってみたれば、そのおかたが、
「歩いでみろ、まず。にしゃも歩(あ)いでみろ、まず」
 て、連(せ)て行ってみたところが、そのかかさの家元からもらって来た重箱の牡丹餅はぁ、流っではぁ…。
「なんだ、牡丹餅もらって来たな、白髪ほけざぁ、あんめぇちゃえ」
 て言ったど。とーびんど。
(須藤とみゑ)
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