25 和尚と小僧― 初餅 ―

 和尚さまとおばさま、餅焙っていたど。小僧ぁそいつ眺めっだら、
「お前は用事に行って来い」
 て、道順教えらっで行ったど。その後に餅食うべと思っていたのさ、小僧っこがひょっこりと出はって来たど。そしたら、
「どこへ行って来たごど。早いこと、早いこと」
 て言うたば、「こういう風に…」て、ちょこっと刺したら餅あった。
「そしてちょこっと聞いだごで…」て、ちょこっと刺したらまた餅あった。そして皆焙ったの食わっだど。仕方なくて、
「お前さ食せっかど思って焙った」
 て言うたど。むかしの小僧ざぁ賢こがったど。
(中條ちゑの)
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