17 地蔵浄土

 お彼岸のときに団子つくって行ったら、そいつ転んで、庭の隅(すま)この孔さ入って行ったど。
「団子どの、団子どの、どこまでござる」
「あっちの堂まで、堂まで」
 コローリコロリて転んで行ったど。そして行ったところぁ、今にバクチ打ち来っから、
「まず、そこに隠っでて呉ろ」
 なて言うたどな、その地蔵さま。
「バクチ打ち来たら、鶏の真似しろ」
 一番鶏、二番鶏、三番鶏になっど、夜明けっから…と言うたど。そしたらバクチ打ち来たど。一番鶏、コケコーて言うたら、
「あら、夜明けんぞはぁ」
 て、シャーシャーてバクチ打つんだど。そしたら二番鶏、三番鶏なったからこんどは…。
「やめて、行かんなねはぁ」
 て言うて、やめて皆行って、大変な金置いっだどな。そいつもらって家さ行ったらば、
「こういうわけで、地蔵さまから金もらって来た、バクチ打ちぁ来て…」
 そしたば、隣の欲たけじんじぁ、そいつ聞いて行ったど。そして団子転びもしないな、コロロ、コロロと勝手に転ばしてやって、そして地蔵さまさ行ったらば、バクチ打ち来たど。そしたらこんどはコケコー、コケコーと言うたげんども、後で「あはは…」て笑ったば、人間だどて、鬼にせめらっで、創だらけになったど。んだから、あんまり欲たけんなど。
(中條ちゑの)
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