7 瓜姫子と天邪鬼

 むかしあったけど。
 お盆になって、お盆どきにここで瓜ざぁ上げるんだ。仏さまにな。んだからお盆に町さ行って大きな瓜買ってきて上げたというわけだ。お仏さまさよ。そうすっどお仏さまで、夜中ごろ、パェンという音がしたど。おじいさんとおばぁさんが何だと思ったば、赤ん坊だったど。そしてそいつを知って、
「瓜から出たから、瓜姫子と名付けろ」
 て、じっちゃとばっちゃど、瓜姫子と名付けて、なかなか、めんごくてめんごくて育ててあったそうだ。そしてじいさとばぁさが育てたということになって、ばぁさが機織り教えて、機織りしったれば、
「決して、おれ脇さ出はって行んから、天邪鬼来っから、戸開けんなよ」
 て言わっじゃどていたげんど、
「つうと、開けろ、つうと、開けろ」
 て、天邪鬼は、
「瓜姫子、遊びにきた」
 て言うから、
「いや、戸開けらんね」
 て言うたら、
「戸開けらんねなて言(や)ねで、開けて呉ろず」
「開けらんね、開けらんね」
 て言うげんども、つうと開けて呉(け)だら、ガラリと開けて、こんど瓜姫子を食ってしまったどな。殺してよ…。そしてその骨と皮ばり裏の桃の木さ結(ゆ)つけだど。
 そしたれば、「瓜姫子、天邪鬼来ねがったが」て言うど。天邪鬼は瓜姫子に化けて、機織りしったけど。「来ねがった」て、知しゃねふりしったど。そしてそのおばぁさんが裏の畠さ行ってみたらば、桃の木さ喰っつけて…。こんど天邪鬼どて、ズルズルと引ずって歩(ある)って殺したど。とんびんと。
(中條ちゑの)
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