2 かおすと狐むかしあったどさ。狐がかおすに行ったら、うまい御馳走なったど。そして聞いだんだごて…。 「この雑魚、なじょして獲って、うまい御馳走さっだべ」 て言うたところぁ、 「お前なの獲るに雑作ないごで。堤さ行って尻尾ぶち込んでおくと、尻尾さいっぱい掛っこで」 て教えらっじゃどかて。そうしたところぁ、「そうか」どて、堤さ行ったらば、寒ずる朝方、ミリミリ、ミリミリて。 「ああ、雑魚いっぱい掛ったな」 て思っで、尻尾さミリミリと感じて来たもんだから、尻尾さいっぱい食付いたと思ったげんど、そのうち明るくなったもんだから、人ぁ見付けて、 「あら、あそこさ狐いた」 どかて、人ぁ行ったれば、引張ってみたげんど、なかなか引張らんね、そしたら、その狐が言うに、 〝少々の小雑魚が落ちても大事ぁない エンサラサ、エンサラサ〟 て引張ったらば、尻尾スポンと抜けだけど。そしてこんどかおすどこさ行ったって。 「かおすモサ、かおすモサ、おれ、尻尾もげてしまった。にしゃ、まよえ」 どかて行ったところが、 「あらら、ほうか、ほんじゃら…」 て、南蛮味噌とか、尻尾抜けたどこさ、喰付けたところが、痛くて、ケーンケーンて逃げて行ったずま。とーびんと。 |
(中條ちゑの) |
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