50 顔より心しあわせな娘いだったごんだど。たった一人の娘だったげんども、その器量悪いのはすごいもんだった。そんで、生まってからずうっと家の中で育でったごんだど。そのうち、人並に年頃になって、いろいろ心配して、家さ出入りしった大工だか左官だかの息子さ話したんだけど。こういう不器量さだげんども、かたい人だから、結婚してけんないが、て言ったら、そがいに言うごんだらて結婚したど。仕事がら、夫婦そろっての会合もあったそうだ。げんど一ぺんも表さ出なかったもんで、会合さも行がねがったど。そうしているうち、あんまり来ないど罰金とられるようになったんだど。何回か金出したげんど、なかなか大変なもんでその奥さんが気の毒になってきて、一緒に会合さ出たど。その器量わるいのは、すごがったもんで、早々に帰ってきて、その奥さんは旦那さんに気がねして別れて呉ろっていったげんども、「顔な、どうあっても心いい妻だから、絶対別れたりしね」て、それからもしあわせに暮したど。 |
話者 広居 (米沢市直江町) 採集 梅津紀子 |
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