36 山伏と狐あるどこさ狐に化かされる噂あったけど。そいつ聞いだ山伏は、「おれは絶対、馬鹿にさんにぇ」と言って、歩いて行ったけど。暗くなってきたっけど。そしたら向うの方からぞろぞろと荼毘(だみ)来たっけど。そしたら荼毘見たくて傍さあった大きい木さのぼって、山伏は降りるに降りらんにぇくていたら、棺の蓋(ふた)あいで、白い着物着て出てきたど。そして、「山伏さん、山伏さん」と言って、木登って追っかけてきたっけど。恐っかねぐなった山伏はどんどん登って逃げたど。そしたら木の枝がボキッと折(お)しよっで、下の水さドボンと落ちたと。目覚ましてみたら、まわりは暗ぐねくて明るいどこさ、ボゲッと立ってだっけど。んだから、「おれは馬鹿にさんねぇ」なんて、ホラ吹いでみたって狐はちゃんと知ってで馬鹿にすっから、そがなこと言わんにぇごんだど。 |
話者 浜田のり (川西町上小松) 採集 村田友子 |
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