32 南の山の太郎さ南の山て言うなは、会津の地名だど。南は部落の名前だど。南の家の太郎さは「おら家で、お仏さま買ったがら、見に来い」て言わっちゃど。そしたばその太郎さのおっかに、「立派なお仏さまだなっし」とほめて、もしもそのお仏さまの中に孔でもあったら、「んだげんども、そこさ節孔あんな、いたましいなぁ、そこさ掛軸(じ)でもかけておくといいお仏さまになっこで」て、おっかに賞めて来いて言わっちゃど。 そしたば次の日、隣の家から、 「馬買ったから見にこい」て言わっちゃど。そしたばそん時、おっかさが居ねがったもんで、また馬見て、「いい馬だなっし」て言ったど。馬だから、尻があったから、その尻の孔を見て、 「ここに節孔があんなっし」て言ったど。「ここに掛軸(じ)でもかけておくと、いいごでな」て言ったど。そしたばその家の主に馬の尻孔さ掛図おく馬鹿いねごで、と言わっちゃど。 |
話者 佐藤 (川西町) 採集 斎藤操子 |
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