10 動物説話

(6)ギョウギョウシ
 夏さか、草刈りに行くと葭やらで、行々子がやかましく啼くものであった。
「ギョシギョシ、ギョギョシ、スッカケスッカケ、いたいいたい」
 と啼くんだと、卑猥なことを言う若衆もいたものである。
 また、むかしある金持に奉公している下女がおった。ひどく口やかましい旦那であったが、あるとき外出しようとしたら、草履の片方がない。おつきの下女に探させたが、見えない。上等の草履でもあったと見え、それを探しに出された。そして探しあぐんで、鳥になった。
「ジョーシ、ジョーシ、ジョジョシ、ゾーリカタカタ、ノンダッシャ」
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