10 動物説話

(5)オタタカチョウ
 夏の夕暮など、オタタカチョー・オタタカチョーと気ぜわしく啼く鳥の声を耳にすることがある。
 むかし、よく弟を愛している兄がおったが、あるとき兄がトコロ藷を掘って来て、よい藷ばかり煮て食べさせた。根性の悪い弟は思うに、
「おれさえこんなよいのを食べさせるんだから、兄んちゃは、何んぼかいい…」
 と、寝ている兄の腹の中をさいて調べてみた。そしたところ、トコロの屑や切れっぱしばっかりだった。初めて兄の情けを知って弟はとうとう神さまに罰を当てられ、一日にオタタカチョウと八千八声啼かねば、食べられなくなったという。それで、ホトトギスはあのように血を吐くほど啼いているのだという。
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