38 フウフウとドイドイお寺さ、フウフウて名付いたのと、ドイドイと名付いたのといだけど。ほしてその小僧ば寝せで、眠てからばっかり、お寺さま、わればり正月餅あぶって食っ た話だっけな。 ほしたらば、フウフウ、ドイドイて音すっさげて、「はい」て起きてきた。灰を ほろってフウフウ。ほして餅をアテギさぶっつけて、灰とりにぶっつけだんだど。 小僧さんも賢こがったべちゃ。ほして、たいがい焙ったもんだはげて、 「何、和尚さま、何用だべっす」 てきた。 「何にも用ない」 「フウフウ、ドイドイて呼ばらっだはげて、和尚さまが用事あっど思って…」 そして、 「ほうしたらばよ、和尚さまよ」 「なえだ」 「おれ、うんとおもしゃい夢見たのよ」 「何夢みたんだ」 「あのな、馬きてよ、馬が跳ねだって、跳ねだって」 て、火箸持(たが)って、小僧さん、 「こういう風にして跳ねだずだ」 て、ジュグジュグ、ジュグジュグと餅をさしたてよ。ところが火箸の先さ、餅 たくさんついた。 「ありゃ、餅ついだ、せい」 て、ほして、ほの餅、小僧さんにみな食べらっだど。 |
(砂子関・工藤かなえ) |
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