34 粟福と米福粟福は先妻の子どもで、米福は後妻の子どもだったど。栗拾いに行ったど。ほしたれば、自分の子どもさ、きれいなええハケゴあずけて、先腹(せんぱら)の粟福さは穴コ あいだハケゴあずけて、拾っても拾ってもたまらね。家さ帰ってきてごしゃがれ だど。ほしてまた、ほれから栗拾いに行ったときも、先の通りハケゴ、ほうした んだど。ほしたら小さい方が、 「姉さん、どうして姉さんの栗、たまらねべ」 て、妹の方が見て呉だらば、穴コあいっだてよ。 「ほんでは溜まらねなだ」 て、木の葉っぱでくけて、妹の方で拾った栗分けて、「同じに拾ってきた」てい うどこだけな。 「なして、こだえ同じに拾った」 て、自分の子の方さ言ったら、 「姉さんのハケゴ見て呉だれば、こういう風だはげ、穴コふたいで呉(け)で、拾って きたんだ」 て、妹の方が語ったど。「なしてほだごどした」て、ごしゃがっだど。 ほれから、芝居きたから、芝居見に行くことになって、先腹の子は、 「洗濯して、留守番してろ」 て言(や)っで、自分の子と二人ばり行ぐんだけど。そして見て帰ってきたんだけど。 ほしてこんどまた芝居かかって、二回目に行ぐどきも、また留守番させて行った んだけど。ほしたれば友だちだ迎えに来てな、お洗濯でもお掃除でも、みな手伝 いして、出かして、友だちだ持ったやつ、みな貸して行ってみだど。友だちはう まいものみな分けて、食べっだどこ、おかぁさんが見(め)けで、家さきてから、 「お金どっから持って行った」 「着物、どっから着て行った」 どっから入って行ったのて、ごしゃえでいじめだど。 最後にはおっかさんが目見えなぐなって、自分の子ば尋ねて行ったどごだけど。 どーびん。 |
(月山沢・遠藤あさえ) |
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