32 鶴女房

 若い男が働きに行くとき、かたわになった鶴助けだど。
 鶴が女になって、しばらくして尋ねてきて、桟織りしたど。
「おれ、桟織りしてるどこ、決して見ないで呉ろ、決して見ないで呉ろ」
 て、毎日桟織りしていたげんども、男は見っだくて見っだくて、見たんだど。
ほしたれば鶴はいなぐなって、
「助けらっだ恩返しに来たんだっけ」
 て、語って出て行ったんだど。糸も何もないのに、桟織りしてさっげ、男だで
見んななて言(や)っだて、見っだいがんべや。
(月山沢・遠藤あさえ)
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