3 江戸の銘木屋むかしむかし、江戸で大きい材木屋あったど。ほこさ、田舎から出て行った徒弟で、とても働く、普通の人と働き方がちがう若衆がいだった。そしてそれが働いて旦那から、いよいよもってノレン分けしてもらった。 ノレン分けしてもらうど、心掛けがええもんだから、常日頃、ええ材木来っどそれ売らないで残しておいた。欅、黒柿、それに紫タン、黒タン、こういう銘木は銘木で別にとってで、一般材料として売らなかった。 して、ある時、その人が田舎中廻って歩いて、疫病の神ていう疫病の神、みな集めて行ったど。大概、昔は村はずれあたり、村の入り口あたりにある疫病の神、見ただけでも疫病うつるなんて、あさってのほう向いて、鼻なのおさえて、走って歩いだ時代だった。 ところが、ほの人は、 「いや、疫病の神さま、ほっつの疫病の神さま」 ていうわけで、疫病の神、みな集めて行った。ほして自分の工場さ飾って、疫病の神祭りはじめた。これは誰が入ってもええていうわけで、開いたわけだ。 ところが、 「そういう疫病の神なら、見てみだい」 ていう、物見高い江戸の連中は、わんさわんさと入って行った。ところがその中には、目の暗い人ばっかりでない。目の明るい人もいて、 「いやいや、こっちには、欅の玉木がある。こっちには黒柿のウズラ木 ていうので、それが目に止って、大もうけしたったて。 んだから、木 |
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