(1)豆腐のスダレ左平がある時来て、「いや、今日、米沢城下さ行ったところが、豆腐で編んだスダレ見て来た」 と言うたど。 「何つかしている。スダレを豆腐で編んだりされんめちゃい」 「ほだたて、オレぁ見て来たぜ」 「ほんじゃ、行ってみろ」 と言うわけで、わざわざ米沢の城下まで行ったずま。そしたところ、普通のスダレぶら下っていたずま。 「やっぱり、縄で編んだスダレだどれ」 「ひと封、ふた封…」 と数えて、 「やっぱり、十封(とおふう)で編んだのだどれ」 と左平が言うたど。 |
(大橋 川井弥右衛門) |
>>なら梨とり 目次へ |